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一般的オフィスにも必要な化学物質対策〜後編〜

執筆者の写真: 垂水良介垂水良介

更新日:2024年10月14日



 

前半では、主に体制作りを説明させていただいましたが、ここからは、本格的な化学物質対策となります。

次に職場の化学物質をリストアップし、リスクアセスメント対象物質であるか確認する必要があります。

リスクアセスメント対象物に該当するかを確認するには、CAS登録番号(世界的に利用されている、個々の化学物質に固有の識別番号)で検索します。

対象化学物質を簡易検索(CAS登録番号での検索)」から検索して、該当する場合は対象物です。また、厚生労働省の職場のあんぜんサイト化学物質:GHSモデル SDS情報で検索し、安全データシートを確認し、リスクアセスメントを実施すべき危険物であることがわかります。


(図:アンモニアの安全データシート)

CAS登録番号で検索しても該当しない場合や、CAS登録番号の情報がない場合は、次の方法で確認します。

リスクアセスメント対象物の確認ができたら、実際にリスクアセスメントの実施を行います。リスクアセスメントの手順としては以下になります。①〜③がリスクアセスメントになります。

(図:リスクアセスメントの手順)


④のリスク低減措置の詳細ですが、

労働者がリスクアセスメント対象物にばく露される程度を、以下の方法で、最小限にしなければなりません。

ⅰ代替物等を使用する、ⅱ発生源を密閉する設備、局所排気装置または全体換気を設置し、稼働する、ⅲ作業方法を改善する、ⅳ有効な呼吸保護具を使用する

リスクアセスメントの重要性として、危険が発生していなくても、潜在的な危険や有害性は存在していることがあり、これが放置されている場合、労働災害が発生する可能性が高い状態といます。労働災害を減らすために、先取りの安全衛生対策を行うことが必要となっています。


 

化学物質のリスクの見積りを行う方法を2つ紹介します。

①GHS区分、②使用量、③液個体区別を入力することで化学物質のリスクアセスメントが簡単にできる。


(厚生省:職場あんぜんサイト)

①揮発性、②取扱量、③含有率、④飛散性、⑤換気状況、⑥ばく露時間、頻度などの情報を記入することで、コントロールバンディングより詳細なリスクアセスメントが可能。


(厚生省:職場あんぜんサイト)

他にも多くのリスクアセスメント支援ツールがあり、職場のリスクアセスメントを実施していきます。


 

リスクアセスメントが実施後に必要な、以下の1-4の流れになります。

  1. リスクアセスメント結果等の労働者への周知

事業者は、リスクアセスメント対象物の名称、業務内容、リスクアセスメントの結果、リスク低減措置を労働者に周知します。ばく露低減措置等の一環として、労働者の意見聴取、必要に応じて健康診断の実施、必要な措置の実施。

  1. リスクアセスメント対象物健康診断の実施

a)リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者に対し、リスクアセスメントの結果に基づき、関係労働者の意見を聴き、必要があると認めるときは、医師が必要と認める項目について、 医師による健康診断を行い、その結果に基づき必要な措置を講じる必要があります。

b)国の濃度基準値が設定されているリスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者が、濃度基準値を超えてばく露したおそれがあるときは、 速やかに、医師等が必要と認める項目について、医師等による健康診断を行い、その結果に基づき必要な措置を講じる必要があります。


令和6年からの化学物質に関する健康診断の変更が以下です。


  1. 衛生委員会の付議事項の追加

    毎月開催している衛生委員会に以下の項目を追加します。

1

労働者が化学物質にばく露される程度を最小限度にするために講ずる措置

2

労働者のばく露を濃度基準値以下とするために講ずる措置

3

ばく露低減措置等の一環として実施した健康診断の結果とその結果に基づき講ずる措置

4

労働者が濃度基準値を超えてばく露したおそれがある場合の健康診断の結果とその結果に基づき講ずる措置


  1. 第三管理区分場所の措置強化 作業環境測定結果が第三管理区分である事業場に対する作業環境の改善をします。

    ①個人サンプリング法等による化学物質の測定を行い、その結果に応じて、有効な呼吸保護具を使用させること。(告示事項)

    ②①の呼吸保養保護具が適切に装着されていることを確認すること。(告示事項)

    年1回以上の呼吸用保護具のフィットテストによる確認等




以上が基本的な化学物質の自律的管理の流れでした。


化学物質の自律的管理のまとめ

  1. 化学物質管理に関する管理体制の強化

  2. 化学物質管理者の選任の義務化

  3. 保護具着用管理責任者の選任の義務化

  4. 雇入れ時教育の拡充

  5. リスクアセスメント対象物質であるか確認と実施

  6. リスク低減措置

  7. リスクアセスメント結果等の労働者への周知

  8. リスクアセスメント対象物健康診断の実施

  9. 衛生委員会の付議事項の追加

  10. 第三管理区分場所の措置強化


化学物質対策に関するコラムでした、ここまでみてくださった皆様ありがとうございます。



COCORO GROUP株式会社 垂水良介

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